マツタケ菌の増殖法(II) : 林内植生の手入れとマツタケのシロの増加
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
マツタケのシロ形成を助長し, 子実体発生量を増加させる目的で林齢25年生のアカマツ林内の下層植生の抜き切りや地表のかき起こしを行なった林分を対象に施業後10年間にわたって林内の環境要因, とりわけ植生, 土壌, 菌類についての変化を記録し, その効果をみた。その結果, マツタケのシロ数と子実体の発生量は施業後7年ごろから増加し始め, シロ数は放置区の約2.4倍に達した。地表のかき起こしはほとんど効果がなかった。植生の抜き切りによって林床は明るく, 乾燥ぎみとなり, 落葉量が減少し, このため堆積腐植層の形成が少なくなり, マツタケの寄主であるアカマツの細根が鉱質土層中で増加してきた。このような環境の変化に伴いマツタケと競合する数種の菌根菌や腐生菌が施業区において明らかな減少傾向を示すようになった。瘠悪地のアカマツ幼齢林分において植生手入れを行ない, その環境を改善すればマツタケのシロの誘導は可能である。
- 日本森林学会の論文
- 1979-05-25
著者
関連論文
- 共生微生物を利用したフタバガキの育苗
- 菌の世界(1)菌学はキノコから始まった
- (23) 菌根菌と Fusarium 属菌, Macrophoma 属菌および Dydimosporium 属菌との拮抗作用について (秋季関東部会講演要旨)
- 知 菌の世界(2)日の目を見たかったキノコ
- 菌の世界(3)枯れる木と消えるキノコ
- 土壌微生物の特性(公開シンポジウム特集「緑化と微生物」)
- 日本産とタイ国産ヒラタケ間雑種集団に現れた形質の変異
- 24-29 広葉樹集団枯損地帯における酸性雪(24.地球環境)
- 広葉樹集団枯損と立地要因の解析 リモートセンシングとGISの利用による
- マツタケ菌の増殖法(II) : 林内植生の手入れとマツタケのシロの増加
- 4-12 森林土壌有機物層における系状菌の分布(第2報) : 微生物相とphosphatase活性(土壌微生物)
- 20-15 アカシアマンギウムのバーク炭の施用が土壌の化学性と作物収量に及ぼす効果(20.土壌改良資材,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 菌の世界(4)マツを救ったショウロ
- 菌の世界(5)おいしいキノコの謎
- マツタケ菌の増殖法(I) : マツタケ感染苗の育成法
- いま世界が炭の効果に注目 (じゃんじゃんやいて じゃんじゃん使う 炭)
- 菌根菌は少肥・減農薬の心強い味方--炭は微生物のすみかをつくる (21世紀に引き継ぐ農業の技術自給の知恵) -- (パート2 施肥・土つくり・防除--土と生き物がつくる減農薬空間)
- 56. 除草剤の連用が雑草の発生量におよぼす影響 : 林業苗畑における試験
- 菌の世界(6)熱帯雨林を支えるキノコ
- 菌の世界(8)キノコが出るとき
- 菌の世界(7)虫を食べるキノコ
- 森林における微生物生態の研究 : とくに土壌に生息する菌類について
- 菌の世界(10)石炭はなぜできたか
- 知 菌の世界(9)菌を食べるラン
- 401 高等菌類の生態的特性と培養について
- 菌の世界(11)マツタケはできるか
- ナラ類の枯死と酸性雪
- 知 菌の世界(12)なぜキノコの色は鮮やか
- 熱帯農林業における共生微生物・炭の利用と炭素固定(農業における微生物利用と土壌微生物研究,シンポジウム)
- 木材炭化成分の多用途利用技術研究組合の設立(こんなことが,いま)