有用樹種別收縮現象の特異性に関する研究(予報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
従来, 収縮或いは膨脹に関する仕事は数多くなされているが, 或る含水率変化にともなう寸度変化を測定し, それにより算出された収縮率(膨脹率)が求められている。斯様に寸度変化を終つた後における変化量の比較のみでは各樹種間の特異性を表現するのに不満足に思われる。 即ち, 含水率変化にともない刻々増加する寸度変化を連続的に観測し, この変化過程をもつて比較を行うことを考えた。実験方法及び比較の行い方等若干検討の余地を残しているが, 現在迄の結果を予め報告し教示を仰ぎたい。a) 収縮率の上昇の時間的経過は, 初め緩漫であるが続いて急激な変化に移り, その後極めて緩漫な上昇を辿つて遂に変化を止めるに至る。b) 収縮を開始するのは10〜30分頃であるが, 樹種間の差異は小さい。この半径方向より早く縮みはじめるが, 中には逆になるとのも若干ある。c) 早期特に大きく収縮するものとそうでないものとある。d) 収縮現象が完了する時期を正確に知るのは困難であつたが, 予想外に長期に亘るのが一般である。e) 大約の収縮を終る24時間後の収縮率を以つて一応最終収縮率として大きいものから列記すると, 切線方向では, ブナ, ナラ, ニレ, ヒバ, マツ, スギ, カツラ, ケヤキ, ホオノキ, セン, の順となり, 半径方向では, セン, カツラ, ケヤキ, ブナ, マツ, ニレ, ナラ, スギ, ホオノキ, ヒバの順となる。f) 切線方向収縮率(T)と半径方向収縮率(R)との比(T/R)をとり経過時間との関係を示したが, この関係Curveは大約4種類に分けられ(1) マツ, スギ, ヒバ, カツラ, (2) セン, ナラ, (3) ブナ, ケヤキ, ニレ, (4) ホオノキに類別された。
- 日本森林学会の論文
- 1955-09-25
著者
関連論文
- 竹材の物理的性質に関する研究(第8報) : 開花竹の材質について
- キリ材の研究(5) : 福島県産天然生キリ材の材質 特に新潟県産材との比較において
- 竹材の物理的性質に関する研究(第VII報) : 断面別水分蒸発について
- 有用樹種別收縮現象の特異性に関する研究(予報)
- 竹材の物理的性質に関する研究(第6報) : 竹令別收縮率並びに試片の形状と水侵による影響
- ○貯木場における材質変化について
- 竹材の物理的性質に関する研究(第V報) : 乾燥の速さについて
- 竹材の物理学的性質に関する研究(第IV報) : 收縮の速さの厚さによる差異
- 405. キリ材の湿気透過について
- 65 竹材の物理的性質に関する研究(第3報) : 佐渡産マダケの收縮について
- 33 竹材の物理的性質に関する研究 : 第1報 伊豆産モウソウチクの節部の收縮に就て
- 18 伊豆産モウソウチクの收縮に就て