ポプラの炭酸ガス補償点
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概要
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緑色植物を閉鎖系に入れ, 光を照射すると, 閉鎖系内の炭酸ガス濃度は減少し, 一定の炭酸ガス濃度に到達する。この炭酸ガス濃度をその植物体の炭酸ガス補償点という。光の強さ, 温度, 水分, 酸素濃度, および葉齢の違いによる炭酸ガス補償点の変動を, ポプラ葉について, 測定した。ポプラの炭酸ガス補償点と光の強さとの間に相関関係は認められなかった。すなわち, 光合成が光飽和に達していない, 5Kluxにおける炭酸ガス補償点は, 10Klux, 20Kluxにおける補償点と同じであった。この実験におけるポプラ葉の光合成は, 20Kluxで飽和に達した。温度による炭酸ガス補償点の変化は, かなり顕著なものがあり, 25℃と35℃の間の温度係数は1.4であった。しかし, この温度係数は, 草本における炭酸ガス補償点の温度係数が, 約2.0であることを考えるならば, 比較的小さい。炭酸ガス補償点が酸素濃度によって著しく変化することはよく知られた事実であるが, ポプラにおける補償点も例外ではなかった。また, 酸素濃度と補償点は, 直線関係となり, 直線回帰をすると, y=2.69x+0.15となった。ここにおいて, yは炭酸ガス補償点, xは酸素濃度である。葉齢と炭酸ガス補償点との関係は, ほとんど相関性がなく, 葉齢が変化しても, 炭酸ガス補償点は, ほぼ一定値を示した。ただ非常に若齢の葉における炭酸ガス補償点が, 高い値を示しただけである。さらに, 葉齢の異なったポプラ葉における光合成能力と炭酸ガス補償点の間には, 何らの関係も認めることはできなかった。
- 1973-03-25
著者
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