穿孔虫類によるラワンへの加害とラワン丸太の殺虫剤による防虫処理
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概要
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ラワン材に寄生する穿孔虫類を防除する目的で, 1970年から1972年にかけ, インドネシア東カリマンタン州を中心に行った5回の現地調査の結果, 以下の知見を得た。1) いわゆる"中ピン"などと呼ばれているところの, ラワン生立木に寄生する穿孔虫類が, 生息数は少ないが確認された。Platypodidaeは, 比較的大型(直径2〜4mm)のピン・ホールを作り, おもに心材部を加害する。Xyleboriniは, 小型(直径0.5〜1.0mm)のピン・ホールを作るが, ラワン立木の地表近くの空洞から続く割れ目に沿って心材に侵入し, 脆心材を加害することもある。2)立木伐倒後の丸太に対しては, 剥皮しない場合, 内樹皮, 辺材を食害するカミキリムシDialeges pauperなどが, 伐倒後5日目ごろから産卵し始め, 加害する。剥皮した場合, Xyleborus perforans, Arixyleborus granulifer, Platypus curtusなどのキクイムシ類が, 剥皮丸太の表面が乾燥し始めると(雨季には剥皮後約30分, 乾季には約20分), 心材, 辺材を直接加害する。3)ラワン丸太の穿孔虫類による被害を防ぐためには, 前述の穿孔虫類の寄生が始まる前の時期に, 剥皮しない丸太に対しては, バイジット乳剤を3cc/m^2(バイジット純量), スミチオン乳剤を1.5cc/m^2,剥皮丸太に対しては, バイジット乳剤またはスミチオン乳剤を3cc/m^2,予防散布すればよかった。
- 日本森林学会の論文
- 1973-10-25
著者
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