林木の耐寒性に関する研究(II) : 高い耐凍性を得たスギの針葉の耐凍限界温度付近における, その葉肉細胞の凍結様式
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概要
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スギの葉肉細胞の耐凍性と凍結様式との関係については, すでに述べた。しかし, 高い耐凍性を獲得したその細胞の, 耐凍限界温度付近における凍結様式は観察できなかった。そこで, 凍結置換によって, 耐凍性の高いスギの葉肉細胞の, 耐凍限界温度付近における凍結様式を観察し, 凍害の生じる凍結様式について検討した。1)急速に凍結した耐凍性の低い未成熟葉において, その凍結置換による像は, 細胞内凍結の結果と考えられる原形質の混乱を示した(写真-2)。2)-22℃に凍結した耐凍性の高い葉肉細胞では, 全体に, その原形質体が収縮していた(写真-4,6)。3)凍結した耐凍性の高い葉肉細胞のうちで, 無凍結の対照と同じように, ほとんど収縮しない細胞が観察された(写真-4,矢印)。しかし, その細胞が, 細胞内凍結をしたものかどうかは, はっきりしなかった。以上の結果から, スギの針葉の耐凍限界温度付近においては, その葉肉細胞の多くが細胞外凍結をしており, それらの凍結による害は, おもに, 細胞外凍結のもとで生じると推察される。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1971-10-25
著者
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