林木の耐寒性に関する研究(I) : スギの針葉の耐凍性とその葉肉細胞の凍結様式との関係
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概要
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スギの針葉の横断面切片を顕微鏡下で凍結させて, おもにその葉肉細胞の凍結過程を観察し, それらの凍結様式と耐凍性との関係を検討した。1)未成熟な葉肉細胞の凍結様式は, 主として, 細胞内凍結であった。2)dehardeningされた成熟葉のそれは細胞外凍結であったが, 融解後, その細胞はいちじるしく害を受けていた。3)耐凍性を持った成熟葉のそれは, 細胞外凍結で, 融解後は正常に回復した。以上の結果から, スギの葉肉細胞の耐凍性は, 細胞内凍結から細胞外凍結への凍結様式の変換過程を経て獲得されると思われる。しかし, その耐凍性の増加は, たんに凍結様式の変換のみによってもたらされるものではないようだ。
- 1970-07-25
著者
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