アシウスギ-ブナ混交林における樹木の枯死形態と枯死要因
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概要
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京都大学芦生演習林モンドリ谷集水域(35°20'N, 135°44'E, 標高688.7〜836.5m)に設定されている16haの天然林調査区内で, 胸高直径10cm以上の枯死木につき枯死形態の調査を行い枯死要因を推定した。直径10cm以上の枯死木は16ha内で2,472本, 同定できた樹種は25種であった。本数割合ではアシウスギが最も多く, 全体本数の71%を占め, ブナ, ミズナラが次いで多く見られた。枯死木の直径分布は樹種によって異なり, アシウスギは小径木の多いL字型分布を示し, ブナ, ミズナラでは中, 大径木でピークを持つ一山型分布を示した。アシウスギの枯死形態は根返りと立ち枯れが多く見られた。ブナでは立ち枯れ, ミズナラでは根返りが多かった。アシウスギの枯死要因としては風, 雪等の気象害が最も重要と思われるが, ツキノワグマによる剥皮害(クマハギ)も重要であると考えられた。ブナの立ち枯れは菌害が関与しており, ミズナラの根返りは風, 雪等の気象害に因るものと考えられた。
- 日本森林学会の論文
- 1997-02-16
著者
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