ヒバ林の成立過程(I) : 撹乱の歴史
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概要
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ヒバを主とし, スギや広葉樹を混じえた天然生林において年輪解析を行い, 林分の成立過程に影響を及ぼした撹乱について検討した。約60年前にスギ, ヒバのすべての供試木に顕著な成長増加が認められ, 広葉樹の多くの個体がこの時期に加入した。約90年前, 130年前, 160年前にも多くの個体で成長増加が認められた。以上の結果から, この林分ではこれらの年代に何らかの撹乱によって林冠が疎開されたことが明らかになった。そのうち約60年前の撹乱は製炭のための強度な広葉樹の伐採であったと推定される。以上のように, この林分は大面積・強度の撹乱によって亜高木層以下に生育していた多数のヒバ前生稚樹が一斉に旺盛な成長を開始して成立したと考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1993-03-01
著者
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