強風雪により激害を受けたスギ人工林の被害要因の解析
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概要
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1986年3月に強風を伴う湿雪によって冠雪害を受けた27年生サンブスギ人工林において, 1林分内の微地形と林木の分布, 形状との関係およびこれらと被害形態との関係を調べた。調査地の本数被害率は幹折れが最も多く(47.2%), ついで根返り(13.3%), 幹曲り(6.3%), 梢端折れ(4.7%)であった。被害木の空間分布のパターンをm-m法で解析した結果, 幹折れ以外の各被害形態はいずれも集中分布の傾向を示した。胸高直径の小さいものほど被害率が高く, このような林木は林内の西〜北西向きの急な斜面に多かった。地形的に冠雪が発達しやすかった場所を幹折れと根返りの分布から推定したところ, やはり西〜北西向きの斜面であった。本調査地の被害率が70%を超える激害となった原因は, もともと冠雪害に弱い形状の林木が多かった斜面の向きが, 被害当日の湿雪を伴った強風の向きとほぼ一致していたためと推定した。冠雪荷重に弱い形状の林木が多かった理由は間伐の遅れであると考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1990-09-01
著者
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