培養犬線維芽細胞を用いたハイブリッド人工気管の研究

概要

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Non-porous typeのDacron製人工気管の吻合端内面に於ける早期上皮形成促進を目的として, 培養した線維芽細胞をフィブリン製剤を用いてその両吻合端付近に密に付着させ人工気管のハイブリッド化を企てた。これを用いて犬の縦隔気管10気管軟骨輪の長さの気道再建実験を行った。この結果を教室のハイブリッド人工気管初期モデル(対照群)の成績と比較した。結果, 平均口側吻合部開存率(吻合部開存断面積/生体気管断面積)(%)は2ヵ月, 3ヵ月, 4ヵ月でそれぞれ80.5±23%(n=10), 71.3±25.1%(n=7), 68.9±34.3%(n=4)と高く, 2ヵ月の時点で対照群の26.3±42.5%に比べ良好であった。しかも7ヵ月生存犬の吻合部内腔には肉芽形成は殆ど無く, 組織学的検索により吻合端グラフト内面に重層扁平上皮の被覆誘導を確認し得た。この成績は実験群に用いたフィブリン製剤と対照群より格段に多数化した付着線維芽細胞とのいづれに基づくかは不明ではあるが, 主として後者の効果である可能性が大きいと考え報告した。
1995-01-25