気管支瘻発生率からみた気管支縫合法の検討

概要

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気管支縫合には縫合手段, 縫合法のいくつかの組み合わせが存在する。気管支瘻発生率の少ない縫合法は何かを検討した。最近12年間で手術した肺癌1155症例を対象とし, 縫合手段, 縫合法別の術後気管支瘻発生率を調査した。気管支瘻発生率は主幹, 中間幹, 肺葉の各気管支の順に4.1%, 8.1%, 0.7%で, 主幹, 中間と肺葉の各気管支間に有意差を認めた。手縫い縫合法は, 軟骨部と膜様部を対面接合する方法(以下, S法と略す)と軟骨部を折り曲げ膜様部を内腔に折り込む方法(以下, O法と略す)の2群に分けた。器械縫合は3.5mmと4.8mmステープルの2群に分けた。気管支瘻発生率の低かった縫合は主幹, 中間幹とも手縫いO法, 肺葉では器械4.8mmステープルで, 発生率は順に0%, 3.8%, 0%であった。気管支瘻発生率の高かった縫合は主幹, 中間幹, 肺葉の各気管支順に手縫いS法, 器械4.8mm, 器械3.5mmステープルで, 発生率は順に15.4%, 22.2%, 1.4%であった。以上の所見から主気管支, 中間気管支幹ではO法が器械縫合を上回る安全性を期待できる縫合法であり, 肺葉気管支では4.8mmステープル器械縫合が最も安全な縫合法であると結論した。
1997-05-25