喀血を主訴とした成人の先天性食道気管支瘻の一例

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概要

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我々は、最近喀血を主訴とした成人の先天性食道気管支瘻を経験したので報告する。症例は41才、男性で、3才時肺炎に罹患して、それが原因で聾唖になっている。昭和48年1月、51年2月および10月、52年1月、53年5月および12月に、50∿200ccの喀血があり、その度毎に入院し、胸部X線写真、気管支造影、気管支鏡検査をうけているが、気管支造影像で右B^7の尖形性狭窄以外は、所見は得られていない。出血部位を確認するために、気管支動脈造影を行なったが、右下葉に気管支動脈の高度の増生が見られ、出血部位は右下葉と判定し、右下葉切除術を施行した。その際に、中部食道とS^7との間に、径8mm、長さ10mmの表面平滑な灰白色の索状物が認められ、食道気管支瘻の存在が判明した。瘻管周囲には炎症性変化が少なく、又病理組織学的に瘻管は固有筋層を有し、食道側は重層扁平上皮、肺側は円柱上皮で被われ、両者の移行像も認められ、先天性のものと診断した。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1981-09-01

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