神経性食思不振症に合併した特発性縦隔心嚢後腹膜気腫の1例

概要

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症例は17歳,女性.排便時に発生した労作時呼吸困難,前胸部痛,頸部痛,皮下の握雪感にて他院から紹介された.入院時の胸部X線写真と胸部CTにて,縦隔・皮下・後腹膜・心嚢内に著明な気腫像を認めたが気胸は認めず.気道の断裂を除外するため気管支鏡を施行したが,可視範囲に気道の亀裂・変形を認めず,外傷などの要因もないため,特発性縦隔心嚢後腹膜気腫と診断した.また,15ヶ月前から発症した摂食障害,著明な体重減少(身長158cm,体重33kg,BMI=13.2,20kg減/18ヶ月),無月経,極度の低栄養によると思われる脂肪肝・肝機能障害を認め,当院精神科にて神経性食思不振症の診断を得た.入院後,安静・輸液による肝障害と低栄養の補正,精神科的治療などの保存的治療にて経過観察したところ,数日は気腫がむしろ進行したがその後気腫は軽快し,摂食障害も改善した.本症例では,神経性食思不振症による低栄養が,気道周囲の結合織の脆弱化をもたらしたことが原因で生じたものと考えられた.このような神経性食思不振症に合併した軟部気腫の報告は少なく,極めて稀な症例として報告する.
日本呼吸器内視鏡学会の論文
2002-05-25