フィリピンにおけるコンピューターを用いたイネ紋枯病発生予測システム
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概要
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フィリピンなどの熱帯地方で近年深刻な問題となっているイネ紋枯病の効率的な防除を行うために本病の発生予測モデルの作成を試みた。本システムはイネ紋枯病の進展を水平進展と上位進展の2つの面からとらえ, それぞれをこれまで推定されている気象因子または植物・病原体因子と結びつけることにより推定した。上位進展は病斑高率として表され, 気温, 湿度, イネ体の紋枯病菌に対する感受性および茎数をパラメーターとして算出された。ー方, 水平進展は発病株率として表され, 気温, 湿度, 茎数, 菌核数および1日の内にどれだけ水平進展可能な時間が存在するかを考慮に入れて算出された。さらに, これら2つの進展度から羽柴の式を用いて被害度を算出した。日本で既に確立しているイネ紋枯病発生予測システムBLIGHTASをフィリピンで使用したところ気象条件の大きな違いから高い適合性が得られなかった。そこで, フィリピンの気象データを観測, 解析してプログラムを修正しBLIGHTASIRRIを作成した。さらに被害度と収量との関係について検討し, 上位進展と水平進展から最終的な減収量を推定する式を作成した。次に, BLIGHTASIRRIの精度について検討するため, 本システムに1993年と1994年の雨期作の実測の気象データおよび菌核数等を入力して水平進展と上位進展のモデル曲線を作成した。これらのモデル曲線は, 実際に圃場で観察されたイネ紋枯病の推移と非常によく一致したことから, 本システムはフィリピンで使用可能と考えられた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1995-12-25
著者
-
小林 隆
東北大学農学部(現)東北農業試験場(科学技術振興事業団)
-
羽柴 輝良
東北大学農学部
-
井尻 勉
食品総合研究所
-
Mew T.w.
国際イネ研究所
-
MEW Tah
国際イネ研究所
-
MANINGAS Gerard
国際イネ研究所
-
Mew Tah
国際イネ研
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