可視空間追跡法による高速3D表示 : 三次元スペースモデルの研究 (<特集>コンピュータグラフィクスの新展開)
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概要
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広く用いられているハードウェアZ-バッファによる三次元表示は, 処理量が図形数Nに対しO(N)のため, ハードウェアがいかに高速化しても建築やプラントのウォークスルーなど大規模図形では速度に限界がある. 最近Visibility Cullingと称して, 本来不可視な図形の処理を省略する高速表示法が報告されているが, 対象図形への制限が強かったり, 前処理に長時間を要したりする等の問題があった. 今回CAD等に用いて高性能が期待できるスペースモデルのデータ構造を活用し, これらの問題を解決する方式を検討した. スペースモデルはソリッドモデルと異なり図形内外を対等な空間として分割し, これをポインタで表現して隣接空間や重なり図形を直接検索可能にする幾何モデルである. 三次元表示では, 視点から可視面に達するまで可視空間をポインタでたどって検索することで, 屋外の景色や極端に疎な図形分布などを除き, 可視空間数Vに対しO(V)とNによらぬ速度が期待できる. 本方式は視線をたどる点でレイトレーシングと似ているが, ピクセルごとでなく, 分割した空間単位で視線を追跡することで高速化している. 現時点では任意形状の三次元モデルの自動生成は未完のため今回は四面体に限定したが, 実験の結果O(V)を実証し, 大規模リアルタイム表示への適用可能性を示した. なお, 現在は速度向上のために, スペースモデルの高速衝突検出機能を利用してZバッファを使用しない高速表示方式を検討中である.
- 2001-05-15
著者
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