代数方程式に対するDurand-Kerner法の初期値の改良
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概要
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本論文の目的は,DK法における一般的な初期値の改善を行うことである.DK法は代数方程式の全根を同時に求める解法で大域的収束性をもつことが知られているが,初期値が根と離れていると収束が遅くなる一般にはAberthの初期値が用いられているが,全根を内に含んだ十分に大きい円周上に初期値をとるため,効率のよい初期値とはいえないそこでこれに代わる一般性をもった初期値を考え,有効性を比較・検討した.方法1は全根を内に含んだ十分に小さい円の半径を求めその円1割上に初期値をとる方法であり,Aberthの初期値より根に近いだけ速い収束が期待される方法2は各根との距離の2乗の総和が最小となる半径を求めその円周上に初期値をとる方法であり,根の分布によらず速く収束することが期待される.数値例としてChebyshevの数値積分公式の分点を根にもつ方程式(5〜即次,5次きざみ)と,z=x+iy(-10≦x,y≦10,一様乱数)を根にもつ方程式(15,30,50,80次,各加組)に対し,各初期値を用いてDK法を適用した結果,(1)半径の見積りが大きいと収束は迎い,(2)高次になるほど方法2,方法1,Aberthの順に優劣がはっきりする,(3)方法2は根の分布によらず収束が速い,という結果が得られたしたがってDK法は根に近い初期値を選ぶことが望ましく,特に方法2による初期値が最も有効であるといえる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1988-12-15
著者
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