(78)トウモロコシごま葉枯病菌の遺伝学的研究(20) : トウモロコシごま葉枯病菌iprodione耐性株のprocymidoneならびにfuldioxonilに対する交差耐性

概要

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トウモロコシごま葉枯病菌のiprodione耐性には,histidine kinaseをコードするDic1ならびに機能不明のDic2,Dic3の3遺伝子が関与している.また,Dic1突然変異株には高度耐性型(Dic1^H)と中度耐性型(Dic1^M)の2タイプが,Dic2,Dic3突然変異株には中度耐性型のみが存在する.しかし,これら突然変異株の他薬剤に対する交差耐性は明らかでない.そこで,これら突然変異株のdicarboximide剤procymidone,phenylpyrrole剤fludioxonilならびにEBI剤imazalilに対する耐性度を評価した.その結果,Dic1^H株はprocymidone,fludioxonilに対しても高度耐性を示した.また,Dic1^M株ならびにDic2,Dic3株は両薬剤に対して中度耐性を示した.さらに,imazalilに対しては全ての供試株が感受性を示した.以上の結果,iprodion耐性に関与する3遺伝子は,dicarboximide剤だけではなくphenylpyrrole剤耐性にも関与することが明らかとなった.また,Dic2,Dic3株がEBI剤感受性であったことより,これら遺伝子は灰色かび病菌等の多剤耐性に関与しているABCトランスポーターではないものと推測される.
日本植物病理学会の論文
2003-02-25