鹿児島市における支店の立地変遷とテリトリー
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概要
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近年, 都市の盛衰やその相互関係と事業所の立地・集積との関係についてさまざまなところで論じられている. そして, その多くは主として東京・大阪・広域中心都市などを対象として, そこでの事業所の集中度やテリトリーの広域性などを論証したものとなっている. 本研究においては, 都市システムの中で広域中心都市の下に位置付けられる鹿児島市の支店を対象とし, アンケート調査をおこない, その立地変遷とテリトリーについて検討を行った. そして以下のような結論が得られた. 他の県庁所在地都市においては, 1960年代中頃から支店の進出が活発化し, 1980年代に入ってもその動向が持続するという過程が指摘されているが, 鹿児島市ではそれは1970年代に入ってから活発化し, 1980年代には停滞するという過程がみられる. この過程の中で, 鹿児島市では市街地の南への拡大がみられた. 具体的には, 1970年代に入ると新たに進出した製造業の支店の多くが市南部に立地し, 1980年代にはさらに市街地の北部に立地していた製造業, 建設業, 商業・サービス業の支店が南部に移転したことなどがみられる. 多くの場合, 都市システム論の中で鹿児島市は福岡市の下での県庁所在地都市として位置付けられる. そして, この県庁所在地都市に立地する支店のテリトリーは原則として県域とみなされているが, 鹿児島市では全体の4割程度の支店のテリトリーが宮崎県を中心とした近県にまで及んでいる. とりわけ製造業ではその割合が5割をこえていて, 多くの県庁所在地の支店でみられるよりも広いテリトリーがみいだされる. また, このテリトリーの将来動向については, 全体では3割程度が, 製造業では5割程度が変更を予測している. なお, 鹿児島市においては, 支店の進出過程, 立地変遷, 現在と将来のテリトリーのいずれにおいても製造業の支店の果たす役割が大きいことが明らかになった.
- 1992-09-30
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