多変量解析を用いた化石ウチムラサキガイ (マルスダレガイ科) の殻形態の解析とその古生物学的意義
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概要
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神奈川県横須賀市のなたぎり遺跡および千葉県館山市西郷の平久里川右岸のそれぞれ沖積層から採集されたウチムラサキガイ(Saxidomus purpurata)を産地と生息環境によって, 4つのグループにグループ分けし, 殻の形態変異を解析した.単回帰分析の結果, 殻幅, 靭帯長に関しては生息環境によって有意な差が認められた.閉殻筋サイズとあわせて考察をおこなったところ, 穿孔するタイプのウチムラサキガイは, 砂礫底に潜入するタイプ, カキ礁中に散在するタイプのウチムラサキガイに比べて, よりふくらみを帯び, 殻の開閉能力の高い殻を持つことが明らかになった.この形態は, 巣穴によく適合した形状である.一方で, 套線湾入長に関しては, 産地や生息環境に関わらず, 安定していることが明らかになった.正準判別分析の結果, 殻の形態変異は, グループを判別できる程度に分離していることが示された.これらの殻形態の変異は, 生息環境や底質と深い関係を持つものと考えられるが, 環境の変化にともなって殻形態が自由に変化することが可能であるかどうかについては, 詳しく調べる必要がある.
- 日本古生物学会の論文
- 2000-03-21
著者
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