797. 西南日本後期新生代層産の Glossaulax (ツメタガイ属) (腹足綱 : タマガイ科)の 3 種の種内変異
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概要
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日本の後期新生代の海に栄えたGlossaulaxの3種, Glossaulax hyugensis (Shuto), G. nodai, n. sp.およびG. hagenoshitensis (Shuto)の種内変異を24産地から採集した約600個体の標本を使って研究した。この3種は, 層序的に, また地理的に分布が重なり, そして他のGlossaulaxの種と平滑な臍孔壁および殻底と臍孔壁を分ける螺状な角によって区別される。"二型的"な変異が, G. hyugensisとG. hagenoshitensisの成貝の滑層の形態に認められる。G. hyugensisの成貝の一方の変異型はG. hagenoshitensisの成貝の一方の変異型に似ており, またG. hyugensisの成貝のもう一方の変異型はG. hagenoshitensisの成貝のもう一方の変異型に似る。それにもかかわらず, この2種の類似した変異型の頗度は, 極端に異なっている。G. nodaiは, しかし, 成長を通じて一定の滑層の形態を示す。滑層の形態に関して, G. hyugensisの幼貝はG. nodaiに似ており, またG. hagenoshitensisの幼貝は, G. hyugensisの成貝の"二型的"な変異の一方の変異型に似る。さらに, G. hagenoshitensisは, 縫合下と臍孔壁の周辺の彫刻で, 2つの異所的な変異型に分けることが出来る。この3種の発生上の変異の様式は, 想像上の祖先種を仮定したheterochronyのモデルによって説明される。G. hagenoshitensisは, Polinices sagamiensis PilsbryとGlossaulax reiniana (Dunker)に分類学上混同されていたが, 臍孔部の形態に基づいて, これら2種から明確に区別される。
- 日本古生物学会の論文
- 1985-07-15
著者
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