672. Verbeekinidae の祖先型に関する若干の考察
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概要
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従来多くの紡錘虫研究者により, Verbeekinidaeの祖先型はStaffellidaeと考えられてきた。しかしLEVEN (1970)は西南ダルバスよりPamirina属を提唱し, OzawainellidaeがVerbeekinidaeの先祖であると考えた。本属の特記すべき特徴は外殻でalveolar keriothecaを有すること, 二次的なmineralizationをうけていないこと, パラコマータをもたないことなどである。本属の模式種P. darvasica LEVENはパラコマータを考慮に入れないと原始的なMisellina属, 特にM. dyhrenfurthi (DUTKEVICH)に酷似するが, 後者は個体発生のより初期の段階でalveolar keriothecaが出現する。筆者は最近関東山地の数地より本属を採集したのをきっかけに本属の系統発達ならびに個体発生の段階における旋回壁構造の変遷について考察した。その結果, 模式種よりもさらに下等と考えられるPamirina tethydis, P. leveniの二新種を認めた。これらは旋回壁構造の系統発生上, Misellina属と緊密な関係があり, 同一進化系列上に位置づけられることを認め, 明確にOzawainellidaeに属すること, Verbeekinidaeの祖先型はOzawainellidaeであることを確認した。本論ではこれらを中心に考察し, Pamirinaの3種を記載した。さらに従来報告された種についても若干の検討を加えた。
- 日本古生物学会の論文
- 1977-04-30
著者
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小林 文夫
Institute Of Natural And Environmental Sciences University Of Hyogo
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小林 文夫
Institute Of Natural And Environmental Sciences Himeji Institute Of Technology
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