会計情報における資産評価論の現代的意義
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概要
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昨今わが国で新設または改訂された企業会計基準には,伝統的な取得原価主義・実現基準(収益費用中心観)よりも,時価主義・発生基準(資産負債中心観)に基づくものが多い.その新設・改訂の経緯については,必ずといっても過言ではないほど「国際的動向を踏まえ」という枕言葉が付き,「会計情報が企業を取り巻く利害関係者間の利益調整目的以上に投資意思決定のために有用な情報提供目的が重視される」と解説されることが多い.いまわが国企業会計が抱えるいくつかの現代的課題を根源的に考察する際,現行アメリカ会計基準そのものよりも,その背景にある会計思想の原典に遡ることによって有益な視点が得られる.企業会計が目的とする利益測定においては,原価か価値か,未償却原価説か用役潜在説か,動態論か静態論かという形で永年にわたって争われてきたが,常にその論点となったのは資産評価であった.本稿で考察した原典の着地点はW. J. バッターの『ファンド理論』であるが,そこでは資産評価のあり方を企業活動の中で捉える「開かれた理論」である.しかも負債・持分および収益・費用との連関において捉える会計理論である.現代会計がかかえる諸問題への新たな展望を開く可能性と限界を考察する.
- 2004-09-30
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