名詞句の定・不定と「存否の題目語」
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概要
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題目語となる名詞句は定名詞句(同定可能な名詞句)に限られるという制約(「同定制約」)が成り立たない題目文がある。その一つのタイプは, 「多くの〜」「ある〜」などの不定語を含む名詞句が題目に立つもので, 適切に限定された上位の名詞句が想定できるならば, 題目として成り立つと理解できる。もう一つのタイプは, その名詞句の指示対象の存在・非存在を問題にする題目語である。この「存否の題目語」は, 疑問文と応答文, 否定文, 存在物の数量を表す文, 存否を改めて問題にする文, あるいは, 対比を表す文に現れやすい。通常の題目語(「属性の題目語」)は対象が広い意味でいかなる属性を持つかを問題にするものであり, それに対する説明は様々であり得るが, この「存否の題目語」は対象の存在の有無を問題にするのみであり, また, 同定制約が成り立たないという性格を持つという点で, 題目語として周辺的なものである。
- 日本語学会の論文
- 2004-04-01
著者
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