耐蒸気性樹脂に対する滅菌蒸気中の薬品影響

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〔はじめに〕蒸気滅菌に関する国際規格であるISO17665CDでは滅菌剤として被滅菌物材料への蒸気の影響確認が要求項目となっている.医療器材メーカはISO規格等による蒸気の品質管理を前提に蒸気滅菌が可能であるむね製品表示を行う場合が多い.一方,国内医療機関における滅菌蒸気は十分な品質管理がなされているケースは少なく,メーカが想定する蒸気品質とは大きな隔たりがある.近年,医療分野において蒸気滅菌可能な樹脂製品が増加しているが,一部の耐蒸気性樹脂では滅菌蒸気中に含まれる薬品により劣化を受ける場合がある.今回,医療器材に用いられる蒸気滅菌可能な樹脂に対し蒸気中の薬品の影響を実験的に検証した.〔方法〕蒸気滅菌可能な樹脂の中で医療器材に用いられる代表的な物を8種類選択し,同形状のテストピースを作成し試料に用いた.試料の滅菌には,蒸気中に投入される代表的な薬品であるジエチルエタノールアミンとモルホリンをそれぞれ含む蒸気を用いた.薬品濃度や滅菌回数を変化させ,ISO規格を満たすクリーン蒸気滅菌で処理したものと比較,変化を定量評価した.〔結果〕以下の項目が確認された.1)一部樹脂では目視にて明らかな薬品による白濁等変化が見られた.2)透過率測定等により滅菌回数や薬品濃度による影響の差異を検討した.3)溶出試験により一部の樹脂では薬品による環境ホルモンの溶出を確認した.〔考察〕演者らは滅菌蒸気中の不純物の影響を報告してきたが,今回の研究により蒸気中薬品による樹脂に対する影響を確認した.一部樹脂では環境ホルモンであるビィスフェノールAが溶出する可能性が判明し,滅菌蒸気の品質管理の重要性が改めて示唆された.
2003-04-01

耐蒸気性樹脂に対する滅菌蒸気中の薬品影響

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