乾燥エンドトキシン不活化法の開発
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概要
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〔目的〕エンドトキシンは自然界に存在する最も強力な発熱物質であるが,乾燥状態のエンドトキシンは不活化が困難であることから,医薬・医療品においては,エンドトキシンフリーの製品をいかに製造するかが重要な課題となっている.そこで乾燥エンドトキシンの新しい不活化法を開発する目的で以下の実験を行った.〔材料と方法〕工業用プラズマアッシング装置PACK III(ワイエイシイ)を用いて,乾燥エンドトキシン(ガラス製バイアル瓶,Escherichia coli R3F653株由来:0.5×10^6Pg/瓶)に対する不活化効果を検討した.エンドトキシン活性値は,細渕らの方法(東京都立産業技術研究所研究報告,1999)に準じて,リムルス試験合成基質法(マイクロプレート法)を用いて,ウエルリーダーSK601(生化学工業)にて測定した.処理条件ごとにエンドトキシンの平均減少比(プラズマ処理後のエンドトキシン/未処理のエンドトキシン)を算出して不活化効果を検討した.また処理工程時間と装置内部の温度も合わせて測定した.プラズマ処理にはDry 0_2あるいはWet 0_2を用いた.〔結果〕1)Dry 0_2を用い,出力150W,ガス圧力25Paでプラズマ処理すると,高いエンドトキシン不活化効果(平均減少比約1/400)が得られた.2)処理行程(真空,ガス導入,10分間プラズマ放電,ガス排気,パージ)に要した時間は約14分であった.3)装置内部の温度は70℃以下であった.〔考察と結論〕細渕らは各滅菌法におけるエンドトキシン減少率を報告している.これらの結果と比較すると,本法はエンドトキシンに対して高い不活化効果を有することが明らかとなった.また,本法は,比較的低温で短時間で処理できることから,乾燥エンドトキシンの画期的な不活化法になり得ると思われた.
- 2003-04-01
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