モルモット喘息モデルにおける遅発型喘息反応 (LAR) 及び 気道過敏性亢進に対する吸入サイクロスポリンAの効果
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概要
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以前, 我々は, 慢性喘息モデルである能動感作モルモットの抗原暴露後の LAR及び気道過敏性の亢進が強力な helper T cell抑制作用を有するサイクロスポリンA (CsA) の経口前投与によって抑制されることを認め, 臨床的有用性を示唆した(日本胸部疾患学会誌, 29, 1089〜1095, 1991). 今回は, 更に CsA の気道内吸入局所投与による抗喘息効果の検討を行った. 正常雄 Hertley系モルモットに対して卵白アルブミン (OA) の連続反復吸入暴露によって能動感作した後, CsA (5mg/ml)を1日1回1時間, 連続7日間吸入させた後, OA抗原吸入を行い, 経時的に呼吸抵抗 (Rrs)をオッシレーション法を用いて測定した. CsA非処置のコントロール群(n=5)では, 抗原暴露3〜9時間後に, LARが80%出現したのに対して, CsA処置群 (n=5)では, 認められなかった. また, 24時間後の吸入ヒスタミンに対する気道過敏性の検討では, コントロール群 (n=5)で認められた気道過敏性の冗進がCsA処置群 (n=5)では, 有意に抑制された (p<0.05). 以上よりCsAは, 経口投与と同様に吸入投与によっても抗原暴露後のLAR及び気道過敏性の亢進を抑制を示したことから, CsAの臨床的有用性及び全身投与による副作用を回避する手段として吸入投与が有用である可能性が示唆された.
- 1994-11-30
著者
-
有馬 雅史
獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科
-
牧野 荘平
燭協医科大学アレルギー内科
-
寺師 義典
さいたま鼻・呼吸器アレルギーフォーラム
-
有馬 雅史
燭協医科大学アレルギー内科
-
寺師 義典
燭協医科大学アレルギー内科
-
湯川 龍雄
燭協医科大学アレルギー内科
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