小児における補体系(Complement System)の発達 : 第1編 臍帯血の補体価(CH50)および補体系蛋白の値
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概要
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目的:新生児のCH50および補体系蛋白の値を測定し, これらと母体および健康成人の値と比較し, この時期における補体系の発達および生体防御機構における補体系の役割を究明しようとした.対象および方法:補体成分など9種類の補体系蛋白は, 正常満期産のAFD児の臍帯動脈血と臍帯静脈血の18-37例, 母体血の15-26例および健康成人血の20例について測定した.また補体価(CH50)は, 臍帯動脈血と臍帯静脈血および母体血の各19例および健康成人血の20例について測定し, 次の結果をえた.結果:(1)臍帯動脈血と臍帯静脈血とのCH50および9種類の補体系蛋白の値にはいずれにも有意差は認めなかつたので, 臍帯動脈血と臍帯静脈血とのCH50および9種類の補体系蛋白の値の平均値を臍帯血値すなわち新生児値とした.(2)臍帯血の補体価(CH50)および9種類の補体系蛋白の値はすべて母体値あるいは成人値に比して低値であつて, 補体系蛋白により値に大きな差があつた.そしてこのうちC9およびfactor Bは, きわめて低値あるいは検出されないものがあつた.しかしそれぞれのCH50は全例低値であつたが認められた.(3)臍帯血のClq値とCls値とは, 0.1%以下の危険率で有意に相関した.(4)新生児の在胎日数とCH50, Clq, C4, C3およびC5のそれぞれの値とはよく相関した.(5)臍帯血のCH50とC4, C3, C5およびfactor Bのそれぞれの値とはよく相関した.以上の結果より, 新生児の補体系からみた感染防御力は成人に比して十分でなく, これが易感染の一因となる.しかし同じ正常満期産のAFD児において補体価(CH50)および補体系蛋白の値に著しい個体差があつた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1980-10-30
著者
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