ブタクサ花粉研究者にみられた職業性ブタクサ花粉症例
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概要
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わが国でこれまでに報告された職業性花粉症として, (1)テンサイ研究所の研究員におけるテンサイ花粉症(松山ら), (2)牧草栽培者におけるカモガヤ花粉よる喘息(中沢ら), (3)イチゴ栽培者におけるイチゴ花粉による喘息(小林ら), および(4)除虫菊栽培者における花粉症(中川ら)がある.今回著者はブタクサ花粉研究者にみられる職業性ブタクサ花粉症の1例を新たに記載した.症例は56才男子.職業は大学教授.わが国花粉学の権威で, 1951年以来ブタクサ花粉の研究に従事していたところ, 1957年頃よりブタクサ花粉を取扱うと鼻汁, くしゃみ, 鼻閉, および軽度の呼吸困難を伴う喀痰排出困難を起こすようになり, 精査の目的でわれわれのallergy clinicを訪れた.著明な末梢血好酸球増加はなかったが鼻汁中好酸球増加を認めた.routineの吸入性抗原による皮内反応はブタクサ花粉とヒメガマ花粉に強陽性, Candida albicansに中等度陽性; 点鼻誘発試験はブタクサ花粉に陽性, ヒメガマ花粉に陰性であった.また1974年9月施行のブタクサ花粉に対するPK反応は陽性で血清IgE値は500unit/mlであった.以上の病歴およびアレルギー学的検索の結果から, 本症例はブタクサ花粉による職業性花粉症と考えられた.そしてこの事実より推測して, 著者は他の花粉, 胞子あるいは菌糸の研究者にも職業性アレルギーの存在の可能性を指摘し, これに対する検索の必要性を強調したい.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1975-08-30
著者
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