自己免疫性疾患における白血球遊走阻止試験に関する研究 : 第2編 慢性肝疾患, 特に自己免疫性肝炎における肝粥に対する白血球遊走阻止試験
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概要
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自己免疫性肝炎患者6例, 自己免疫性肝炎の疑いの患者3例および oxyphenisatin 起因性ルポイド肝炎様症候群患者2例を検索対象とし, 慢性肝炎患者8例, 肝硬変症患者7例および正常人11人を対照として, ヒト肝粥, 熱変性子ウシ胸腺DNAならびにヒト白血球粥を抗原とした場合の白血球遊走阻止試験 (leukocyte migration test, LMT), およびリンパ球の幼若化現象の観察を併せ行い, 次のごとき成績を得た.1) 正常人ではヒト肝粥, DNAおよびヒト白血球粥に対するLMTは全例陰性であり, またリンパ球の幼若化現象も全て陰性であった.2) 自己免疫性肝炎患者および自己免疫性肝炎の疑いの患者においては, ツベルクリン皮膚反応およびDNCB皮膚反応は大多数の症例で正常であった.3) 自己免疫性肝炎患者では, 肝粥に対するLMTは6例中4例(67%)が陽性, 自己免疫性肝炎の疑いの患者では3例中1例(33%)が陽性であった.肝粥に対するリンパ球の幼若化現象は, 自己免疫性肝炎の患者では4例中2例が陽性, 自己免疫性肝炎の疑いの患者では検索した1例で陽性を示し, リンパ球の幼若化現象が陽性を呈した症例ではLMTも陽性であった.また, 自己免疫性肝炎ではDNAに対するLMTは5例中2例が陽性, 自己免疫性肝炎の疑いの患者では検索した1例で陰性であった.4) 慢性肝炎では肝粥に対するLMTは8例中3例(37.5%)が弱陽性, 肝硬変症では7例中1例(14.3%)において陽性であった.5) oxyphenisatin 起因性ルポイド肝炎様症候群の2例では, 肝粥, DNAおよび白血球に対するLMTはいずれも陰性であった.以上の成績から, 自己免疫性肝炎の多数例では, 肝組織に対する細胞性抗体が病変の進展に関与していることはほぼ確実と考えられ, また慢性肝炎ならびに肝硬変症の一部の症例においても, 同様の機序により, 肝病変の遷延あるいは進展がもたらされているものがあると考えられる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1974-08-30
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