自己免疫性疾患における白血球遊走阻止試験に関する研究 : 第1編 SLEにおける自己抗原の検索
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概要
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SLE患者25例を検索対象とし, 対照として血清抗核抗体が陽性を示したSLE以外の疾患患者11例, および正常人17人を選び, 熱変性子ウシ胸腺DNA, ヒト白血球核粥, ヒト白血球粥, ヒト肝粥を抗原として, Sφborgらの方法に準じて, 白血球遊走阻止試験 (leukocyte migration test, LMT) を行い, 次のごとき成績を得た.1) 正常人における熱変性DNA, ヒト白血球核粥, ヒト白血球粥, ヒト肝粥添加時の遊走指数 (mean±2SD) はおのおの96±12%, 109±11%, 106±17%, 94±12%であり, これらを正常域とし, Sφborgらの判定方法に準じ, 検査対象患者における遊走指数が正常域以下の場合をLMT陽性, 正常域以上の場合を弱陽性とした.2) SLE患者では, DNAに対するLMTは18例中4例(22.2%)が陽性を, 3例(16.8%)が弱陽性を示し, ヒト白血球核粥に対するLMTは8例中2例(25%)が陽性, 1例(12.5%)が弱陽性であった.ヒト白血球粥に対するLMTは19例中13例(68.4%)が陽性, 2例(11%)が弱陽性であり, 前2者に比し明らかに陽性率が高かった.3) 対照とした血清抗核抗体が陽性を示したSLE以外の疾患患者では, DNAに対するLMTは11例中3例(27.3%)が陽性で, SLE患者における陽性率との間に差はなかった.しかし白血球粥に対するLMTは6例中1例(16.7%)が陽性, 2例(33.3%)が弱陽性であり, SLE患者における陽性率より低かった.4) SLE患者のヒト肝粥に対するLMTは5例中1例が陽性, 1例(20%)が弱陽性であり, その陽性率はヒト白血球粥に対するLMTの陽性率より低かった.5) SLE患者のツベルクリン反応は9例中8例が陰性を示し, 外来性抗原に対する細胞性免疫機能の低下が窺われた.しかしこれら症例において, DNAに対するLMTは6例中1例が陽性, 2例が弱陽性であり, 白血球粥に対するLMTは7例中6例が陽性, 1例が弱陽性を示した.6) DNAあるいは白血球粥に対するLMTの成績とSLEの病変の活動性との間に相関は認められなかった.しかし副腎皮質ホルモンあるいは免疫抑制剤の投与は, LMTの成績を正常化させる傾向が認められた.以上の成績から, SLEでは, 細胞性免疫の自己抗原としては単にDNAや細胞核のみではなく, 他の細胞成分も感作抗原となっていることを知り得た.さらにこのような感作抗原として, 白血球抗原が肝細胞に比し特異性が高いことを知り得た.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1974-08-30
著者
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