米杉喘息に関する研究 : Western Red Cedar の抗原性について
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概要
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1968年岩手県一関市の木工所従業員中に米杉取扱いにより喘息症状の惹起されるものをみいだした.これをきっかけに同市および秋田県能代市の木工所従業員987例について喘息症状を有するものの調査を行ない, 15例をみいだした.これらの症例および同様の症状で当科外来を訪れた18例を対象に, 臨床的検査, 抗原の検索を行ない, あわせて抗原の精製を試み, 次のような結果をえた.1.喘息症状の発生頻度は一関市 7.0%, 能代市 1.1%で, その差は木工所の施設の差異によるものとおもわれる.2.これらのうちアレルギー疾患の既往ないし家族歴をもつものはそれぞれ36.7%および39.4%で, 大多数は1年以内に発症しており, 末梢血の好酸球増多がみとめられた.3.両市で製材されていた米杉材は組織学的に western red cedar(Thuja plicta D.Don.) であった.4.同材の鋸屑より作製した抽出液(圧出液)による皮内反応では33例中31例に, PK反応では33例中23例に, 吸入試験では32例中27例に陽性者がみいだされ, 試験管内ヒスタミン遊離試験では患者群は健常群の約5倍量の血漿ヒスタミンが遊離された.5.圧出液を硫安塩析, ゲル濾過(Sephadex G-75, G-200) により精製してえた皮内反応活性成分は分子量10万前後, 多糖体よりなる物質で, 熱, 蛋白分解酸素による処理では失活しなかった.以上より, 本症は western red cedar を抗原とするアレルギー性, 吸入性喘息と考える.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1972-11-30
著者
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