気管支喘息における Heparin 吸入療法およびその作用機序について

概要

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好塩基球の機能に対する検討から heparin に注目した結果, heparin の気管支喘息に対する臨床効果およびその作用機序について若干の検討を加えたので以下その成績を述べる.種々の chemical mediator および compound 48/80 による皮膚反応では heparin は histamine に対してのみ抑制傾向を示し, また histamine 実験喘息に対しても heparin は同様抑制効果を示し, histamine に拮抗する作用が認められた.ラット reagin 様抗体による皮膚反応を heparin は抑制したが, 沈降抗体による皮膚反応に対してはほとんど抑制効果を示さなかった.また同様 reagin 様抗体を含む血清を用いたラット腸間膜肥胖細胞脱顆粒試験においても, heparin は肥胖細胞の脱顆粒を中等度に抑制し, reagin 型反応を抑制する作用が示された.Heparin の血中濃度は健康人に比し気管支喘息, 慢性骨髄性白血病患者において有意の高値を示したが, 気管支喘息の非発作時と発作前段階の間には有意の差は認められなかった.気管支喘息患者46例に heparin 吸入を実施した結果36例 (78.4%) に自覚症状の改善を認め, また他覚的にも27例 (58.3%) に改善が示された.また, heparin 吸入前後に肺機能検査を実施しえた9例中5例 (55.5%) に1秒率15%以上の改善を認めた.副作用は現在までに全く認められていない.かかる heparin 吸入療法の適応はいわゆる wet type の喘息患者で, また特にむしろ中等症以上の発作に対してより効力を発揮できるのではないかと考えられ, 対症療法としての意義を有するものと思われる.
一般社団法人日本アレルギー学会の論文
1972-07-30

気管支喘息における Heparin 吸入療法およびその作用機序について

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