高知県宿毛市の肺癌検診の有用性の評価 : 検診受診歴を考慮したlength bias除去の試み

概要

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宿毛市では綿密な肺癌登録により肺癌症例がほぼ全例把握されている.過去7年間に宿毛市で発見された肺癌症例106例(40〜79歳)を対象に住民肺癌検診の有用性について検討した.まず発見動機別に検診発見群46例と非検診発見群60例に分けて比較した.検診発見肺癌は, 発見率10万対99.9,標準化発見比1,04,I期肺癌割合74%, 切除率74%, 絶対的治癒切除率57%, 5年生存率55%であり, 検診発見群の予後は非検診発見群に比べて有意に良好であった.しかし, 全症例の検診受診歴を調べてみると, 検診間発見例が20例あり, これらは著しく予後不良であった.そこで, 検診間発見肺癌によるlengthbiasを消去するために, 検診受診歴から, 前回検診受診群59例と前回検診未受診群47例に分けて比較した.5年生存率は前回検診受診群で44%, 未受診群で16%で, 生存期間中央値はそれぞれ3年11ヵ月と1年5ヵ月であり, 両群の生存期間中央値には有意差を認めた.以上より, 注意の行き届いた肺癌検診を経年受診すれば肺癌の死亡率は低下することが示唆された.
日本肺癌学会の論文
1995-10-20