吸入ステロイド治療における薬剤師による吸入指導の意義

概要

論文の詳細を見る
薬剤師によるステロイド吸入薬, beclomethasone dipropionate(BDP)の吸入指導の導入がどの程度喘息治療に有効であるか評価するため, 吸入指導を開始する3カ月以上前よりBDPを使用している患者29名を対象に, 吸入指導の前後におけるコンプライアンスと吸入方法の理解度, 治療点数, 症状点数, 及びピークフロー(PEF)値の変動を検討した.吸入回数が守られている患者は指導前では55.2%と約半数のみであったが, 3回目の吸入指導時には93.1%がコンプライアンス良好となった.正しい吸入方法が理解されている患者は指導前では30%前後と低かったが, 3回目の指導時で90%以上となった.またPEF値は指導前と比較し, 指導後1回目, 2回目, 3回目でそれぞれ7.4%, 10.2%, 12.9%と指導を重ねる毎に有意に上昇した(p<0.01).以上の結果から, 薬剤師がBDPの吸入指導を3回以上反復して行うことにより, BDPの喘息治療効果をあげる事が可能であった.
日本アレルギー学会の論文
1998-04-30