日本産海鞘類の研究 : XXXVIII.北太平洋産Placentela crystallina REDIKORZEVの形態と分類
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概要
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Placentela crustallina REDIKORZEV, 1913の複式標本と,Sigillinaria clavata OKA, 1933の丘博士自身により同定された群体を含む多数の標本との比較検討の結果,S.clavataはP. crystallinaの新参シノニムとみなすべきことが判明した. P. crystallinaは,胸部にplacental membraneと名付けられるごく薄い膜状構造を持つことで他に類をみない.今回初めて詳しく記載されたこの構造は,直腸の右側面から右囲鱈腔に突出した広い長方形の膜で,その外表面に胚やふ化前幼生を付着させる.この機能は成長しつつある胚の保持と推察された.更にP. crystallinaの心臓は,通常のように後腹部後端にあるのではなく,腸環の後半部にそって位置することが初めてわかった.このような特徴は海鞘類においてこれまで数種で知られてきたにすぎない.その系統分類学的意義の検討の結果,本種は仮にポリクリニ科PolyclinidaeのEuherdmaniinae亜科に分類された.
- 日本動物分類学会の論文
- 1984-12-25
著者
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