ハサミシャコエビの幼生
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概要
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ハサミシャコエビLaomedia astacinaの幼生を室内飼育により第5ゾエアまでに成長させ変態に伴なう形態変化を詳細に記載した.さらに,酒井・三宅(1964)による本種の第1ゾエアの報告を比較検討したところ,彼等の記載には分類学上重要な標徴の観察ミスと記載もれがあることがわかった.これにより,従来ハサミシャコエビ科内の他の2属NaushoniaおよびJaxeaとは異なるとされた第1触角の感覚毛数および尾節のthalassinid hairの有無には属間の差異は認められず,むしろこれらは科の標徴と考えてよいことが判明した.ハサミシャコエビ科3属のゾエアの分類は,むしろ額角の形態によって可能のようである.すなわち,その先がまっすぐで三叉したLaomedia属,まっすぐで単棘のJaxea属,および上向きで単軸のNaushonia属のように区別できる。また,胸部付属肢の発達過程において次のような新知見が得られた.胸部付属肢には前底節(precoxa)が存在し,ゾエア後期では前底節がお互に融合し体壁部と胸部腹板へと吸収されてゆく.関節鰓の原基は第5ゾエア期に,付属肢の前底節がお互に融合してできた体壁部に現われる.
- 日本動物分類学会の論文
- 1982-12-25
著者
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