セメント混合材の研究

概要

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火山作用と関係ある珪酸質岩石5種と硫黄製錬残滓3種について化学分析, 可溶分析, 石灰吸着試験, 水中および飽和石灰乳中における膨脹試験を行った. 無定形珪酸を主成分とする珪酸質岩石は可溶性珪酸分を90-95%を占め, ほとんどアルミナ分を含まないのに対し, 硫黄製錬残滓は可溶性珪酸を約70%, 可溶性アルミナおよび鉄分を10-16%含んでいる. 硫黄製錬残滓の石灰吸着は極めて初期においては著しく大きいが, その後においては経過日数とともに徐々に増加する. それに対して, 珪酸分を主成分とするものは初期の石灰吸着は前者に及ばないが, 経過日数とともに尻上りに増加する. また, 飽和石灰水中の膨脹は石灰吸着の順序と一致しており, 水中においてはいずれも顕著な膨脹は認めなかった. 以上の無定形珪酸を主成分とする岩石および硫黄製錬残滓をセメント混合材として, セメントの10%をこれらと置きかえ, JIS R 5201により1:2モルタルを作製して6ケ月にわたる強度の増進状況を比較した結果, いずれもセメント混合材として良好な性質を有し, 6ケ月後においてはセメント単味のモルタルと同程度の強度あるいはそれを凌駕する効果を示した. 特に硫黄製錬残滓は可溶性アルミナおよび珪酸分を多量に含んでいるので, セメントにこれを混合すれば初期および長期強度の発生が著しく, セメント混合材としてかなり有望と思われる.本研究は昭和33年4月5日日本化学会第11年会で発表したものである. 実験試料を提供して戴いた日本硫黄KK, 万座硫黄KK, 松尾鉱業所および蔵王鉱業所に対して深甚の謝意を表します.
1958-08-01

著者

島田欣二
鹿児島大学工学部応用化学工学科

セメント混合材の研究

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