ガルモデュリンおよびカルモデュリン阻害剤・W-7のヒト精子先体反応・受精に及ぼす影響
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概要
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哺乳動物精子先体反応・受精におけるCa^<2+>め重要性は広く知られているにもかかわらず,細胞内での働きについては充分解明されていない.そこで今回の実験では,Ca^<2+>受容蛋白質 Calmodulinが精子先体部に大量に存在することに注目し,ヒト精子先体反応・受精過程における役割について透明帝除去ハムスター卵進入試験,triplestainmethod,透過電顕を用いて検討した.30nM・Calmodulin添加培養液中での精子前処理および媒精では,対照群との間に有意差を認めなかった.50μM.Calmodulin阻害剤W-7添加培養液中での精子前処理および媒精では,著しい受精率の低下が認められた(p<0.001).そこで精子のみを50μM・W-7添加培養液中で前処理したのち,W-7を洗い流して通常の培養液中で媒精すると,早期より著しい受精率の上昇が認められた(p<0.001).また,これらの精子をtriplestainmethod,透過電顕で観察した所,受精能を有する光体反応完了精子を多数認めた.一方,50μM・W-7添カ回培養液中で前処理した卵と精子を,通常の培養液中で媒精した所,著しい受精率の低下が認められた(p<0.001).以上の結果から,Calmodulinがヒト精子先体反応・卵の受精過程に重要た役割を演じていることが示され,必要不可欠とされているCa^^<2+>が,細胞内でCalmodulinと結合して作用を発現する可能性が考えられた.また,その阻害剤であるW-7は,ヒト精子先体反応を著しく促進するとともに,その過程が生理的変化と考えられる所から,将来ヒト精子先体反応誘起剤として臨床応用が可能であると考えられた.
- 1984-08-01
著者
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