体外受精 : 胚移植-卵管内配偶子移植プログラムにおけるGnRH agonist, pure FSH併用法を用いた卵胞刺激法について
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概要
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体外受精-胚移植/卵管内配偶子移植(IVF-ET/GIFT)プログラムの実施に際し, Controlled Ovarian Hyperstimulation (COH)法が用いられ, 妊娠率の向上をもたらしている. しかし, 各種卵胞刺激法に対する, 卵巣反応性の差異のためlow responseによるEstradiol (E_2)の低値, premature LH サージとそれに伴う未熟卵胞の早期黄体化等の理由で, キャンセル周期が発生する. そこで, GnRH agonistおよびpure FSHを用いた卵胞刺激法の確立を試みた. 本研究以前に実施したIVF-ET/GIFTプログラムで, 前記の理由によりキャンセルとなつた20周期(キャンセル周期) 20症例に, GnRH agonist (GnRH-a)およびpure FSHを併用しCOHを実施した(GnRH-a併用周期). また, これらの症例の多卵胞成熟効果, premature LHサージ抑制効果, 採取卵子の受精・分割率および妊娠率についてGnRH-aを併用せずにプログラムを完了した20周期20症例(対照群)と比較検討し以下の結果を得た. (1) GnRH-a併用周期のE_2値のhCG投与日における平均値は1,520±416pg/mlで, これはキャンセル周期の平均値416±209.1pg/mlと比較して有意(p<0.001)に上昇した. また, 同日の対照群のE_2値1,576±608pg/mlと比較すると有意差はなかつた. (2) premature LHサージ群12例に性周期3日目よりGnRH-aを併用したところ10例でLHサージが抑制された. また, 抑制されなかつた2例はさらに次プログラム施行時に前周期高温相よりGnRH-aを併用することによりLHサージを抑制できた. (3) GnRH-a併用周期と対照群のhCG投与日の卵胞数平均値は,4.6±1.3, 3.4±1.5と有意(p<0.05)の増加を認めた. (4) 受精率に有意差はなかつたが, GnRH-a併用周期と対照群の妊娠率は, 25%(5/20), 15%(3/20)と上昇した. これらのことは, GnRH-aおよびpure FSH併用によるCOH法がIVF-ET/GIFTプログラムに有用であることを示唆している.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-09-01
著者
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