卵巣胚細胞性悪性腫瘍の臨床病理学的検討

概要

論文の詳細を見る
過去18年の久留米大学における, 卵巣胚細胞性悪性腫瘍の臨床病理学的検討を行なつた. 1) Yolk sac tumor (YST) 25例, Mixed form germ cell tumor (MF) 10例, Dysgerminoma (DYS)36例, Immature teratoma(IT)26例, Choriocarcinoma(CHO) 2例, Dermoid cyst with malignant transformation (DCMT) 13例の総計112例であつた. 2)平均発症年齢は, YST 25.9歳, MF 26.0歳, DYS 24.9歳, IT 19.2歳, DCMT 58.6歳で, DCMT を除き卵母細胞が活動を始めると考えられる初経時期と発症時期との密接な関係が示唆された. 3) 5年生存率は, YST 31.6%, MF 20.0%, DYS 76.7%, IT 60.0%, DCMT 50.0%で,いずれの組織においても臨床病期との関連が窺われた. しかし, DYSとITについては, 特異な経過をたどるものがあり, その予後判断についてはさらに検討の必要性があることが示唆された. 4)胚細胞性悪性腫瘍においては, in vivoでの分化能が認められ,とくにITでは,神経系組織をふくむ未熟な組織と予後との関連が窺われた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-06-01