Early Pregnancy Factorの臨床的意義
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概要
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受精後早期に母体血清中に出現するEarly Pregnancy Factor(EPF)について、安定した測定系を用い、その臨床的意義を検討し、次のような結果を得た。1)EPFはβ-hCGよりかなり早期に検出され、現在、最も早期に妊孕現象の情報を提供しうるものと考えられた。2)配偶子、特に精子の受精能の判定や、諸因子の受精に及ぼす影響を検討するうえで、EPF測定が有用であった。乏精子症例ではAIHによっても受精率は10.0〜16.7%と低値を示した。3)EPF測定により、受精障害と着床障害との鑑別診断が可能であり、高頻度にembryolossの存在することが示唆された。例えば、頚管因子が適応となったAIH例では、受精率は62.9%と高値であるのに、そのうち58.8%にembryolossが生じたと考えられた。またembryolossの背景因子のひとつとして、着床周辺期プロゲステロン値の関与が示唆された。4)EPFは胚のviabilityを示す鋭敏なマーカーと考えられ、妊娠初期において切迫流産の予後判定に有用であることが示された。以上より、EPFは受精現象の存在および胚のviabilityのマーカーとして、これまで得られなかった有用な情報を提供し、特に不妊領域において重要な臨床的意義を有するものと考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-06-01
著者
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