血中プロラクチン分泌動態とヒト卵の受精,分割能に関する研究 : 一過性高プロラクチン血症がヒト卵の受精,分割におよぼす影響
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概要
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婦人における血中prolactin(PRL)分泌動態と血中PRLの卵の成熟ならびに受精,分割能に及ぼす影響を明らかにするために,両側卵管閉塞および強度の乏精子症のためclomiphene citrate刺激周期下に体外受精・胚移植を実施した28症例35周期の患者において血中PRLを測定するとともに,採取された卵の性状ならびに媒精後の成績を詳細に検討した結果,以下のような成績を得た. (1)外来検査では血中PRL値に異常を認めない婦人の血中PRL分泌動態をNON-TIP(Non-Transient Increase of serum Prolactin)群,TIP-O(TIP at Ovulatory phase)群,TIP-OL(TIP at Ovulatory and mid-Luteal phase)群の3群に分類し各群の血中PRL分泌動態を検討した結果,NON-TIP群では月経周期を通して血中PRLがほとんど変動を示さないのに対し,TIP-O群では排卵朔に,TIP-OL群では排卵期ならびに黄体期中期に一過性の高PRL状態がみられ,いわゆる一過性高PRL血症の存在することが明らかとなつた. (2)NON-TIP群,TIP-O群ならびにTIP-OL群の受精率と分割率を比較検討した結果,受精率はNON-TIP群(89.5%),TIP-O群(87.5%)に比しTIP-OL群(60.0%)で低下する傾向があり,分割率はNON-TIP群(78.5%)に比しTIP-O群(50.0%)で低下する傾向がみられ,TIP-OL群(30.0%)では有意(p<0.05)に低下した. 以上より,一過性高PRL血症が卵の受精,分割能を抑制する可能性が示唆された.
- 1985-10-01
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