婦人科癌患者血清中のImmunosuppressive acidic protein(IAP)について
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概要
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婦人科癌患者の術前あるいは治療前の血清IAP値をSingle radial immumodiffusion法で測定し, 次の結果を得た.健康人200例の血清IAP値は140〜600μp/ml で平均356μp/ml を示し, その93%は500μp/ml以下であることから正常値の上限を500μg/mlと定め, 500μ9/ml以上をIAP陽性と表現した.1)子宮体癌I潮の血清IAP値の平均は395μg/mlで, IAP陽性例はなかつた.II期では, 血清IAP値の平均は525μg/mlと上昇し, IAP陽性率は50%であつた.2)子宮頚癌においては, 0期, Ia期ともIAP陽性例はなかつた.Ib期では血清IAP値の平均は420±126μg/mlでIAP陽性率は22%であつた.II期以上では血清IAP値は平均640±120μg/ml, 陽性率80%と推計学的に有意に上昇していた.子宮顕癌再発例では, さらに血清IAP値は高値を示した.これらのことは, 血清IAP値と癌の進行度との相関を示しているように思われる.3)卵巣悪性腫瘍7例中6例は, 血清IAP値500μg/ml以上を示し, IAP陽性率は85.7%であつた.これに対し卵巣良性腫瘍では血清IAP値は平均336±90.5μg/ml, 6.6%の陽性率であつた.このことは血清IAP値は, 卵巣腫瘍の良性, 悪性の鑑別のMarkerのひとつとして臨床的に利用しうることを示唆するものであろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-04-01
著者
-
鈴木 宏志
近畿大
-
吉田 威
近畿大学医学部産婦人科学教室
-
佐々木 秀敏
近畿大学医学部産科婦人科学教室
-
鈴木 宏志
近畿大学医学産科婦人科教室
-
三好 得司
近畿大学医学産科婦人科教室
-
三好 得司
大阪、一祐会藤本病院
-
佐々木 秀敏
近畿大学医学部産婦人科
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