子宮内胎児発育遅延症に対する治療法の検討
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概要
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子宮内胎児発育遅延症(IUGR)の治療法としてブドウ糖とアミノ酸の投与を行い,体重増加効果を検討した.妊娠30週でIUGRと診断された20例を対象とした.そのうち11例は特に治療を行なわないで経過を観察し,(未治療群),残り9例は入院させて10%ブドウ糖液500mlと12%アミノ酸液200ml,を分娩に至るまで連日点滴投与した(治療群).また無作為に抽出した満期正常分娩例80例を正常対照群とした.胎児体重は母体体重,身長,腹囲,子宮底長,胎児児頭大横径などをパラメーターとする重回帰式により推定した.1)新生児児頭大横径は正常群では9.2±0.4cm(Mean±SE)で,治療群8.9±0.1cmおよび未治療春8.7±0.1cmに対し有意に大きかった.生下時体重は各々3,346±38g, 2,996±92g, 2,490±65gで各群間に右意差が認められた.2)生下時体重の平均体重からの偏りを標準偏差値で基準化した値で検討すると,各々+0.24±0.08SD,-0.42±0.20SD,-1.51±0.13SDであり,各群間に有意差が認められた.3)体重増加効果をIUGR診断時推定体重と生下時体重のそれぞれの時期に相当する平均体重からの偏りを各時期における標準偏差値で基準化した値で検討すると,未治療群では診断時-0.55±0.45SDが生下時-1.44±0.24SDとなり,妊娠の進行と共にむしろ正常発育曲線より,一層偏位する傾向にあったが,統計学的に有意ではなかった.これに対して治療群では診断時-1.21±0.72SDであった体重が生下時-0.42±0.61SDと有意に増加した(p<0.01).以上の成績より本治療法の体時体重増加効果は明らかであり,IUGR症例に対する治療法として有効であると結論できる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-07-01
著者
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