ラット子宮輪走筋・縦走筋収縮の妊娠経過による変化
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概要
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妊娠ラット子宮縦走筋,輪走筋を分離して,その妊娠時期による変化,役割を中期,末期について検討した.1.収縮の型は輸走筋では末期の方が中期に比較して周期が長く,収縮の持続が長い.縦走筋の収縮は末期の方が中期に比べて規則的で頻度が多くなる.2.電気的活性は妊娠中期輪走筋はプラトー電位が優性であるが,末期にはスパイク電位が現われてくる.一方縦走筋は中期,末期ともにスパイク電位優性である.3.協調性収縮は輸走筋間,縦走筋間,輸走縦走筋間,いずれも中期より末期に多くなる.4.ノルアドレナリンに対して輪走筋は中期に興奮作用を示し,末期には抑制される.縦走筋は中期,末期ともに抑制される.5.硫酸テルブタリンに対して輸走筋は妊娠中期より末期に感受性が増す.しかし縦走筋には妊娠時期による変化はみられなかった.6.収縮剤に対して末期に輪走筋,縦走筋とも感受性を増す.プロスタグランディンF<2α>に対して輪走筋は妊娠末期にも拘縮をおこす力は弱い.又縦走筋は卵管端の方が頚管端より感受性が高い.7.自発収縮を停止させる細胞外Ca濃度は,縦走筋では中期,末期に大きな差はないが,輪走筋では中期の方が末期よりCaを低下させる必要があった.末期ではほぼ縦走筋と同程度のCa濃度で収縮が停止した.以上妊娠中期では子宮内圧に関係する縦走筋の収縮は少なく,また頻度の多い輪走筋の収縮は子宮内圧には影響が少なく,局所的なひずみの緩衝作用を有すると考えられる.妊娠末期では輪走筋は非常に縦走筋に似てくるが,拘縮は作りにくい.子宮内容排出には縦走筋が主役であり,輪走筋は縦走筋が拘縮をおこしている時に,協調して収縮を繰り返し,内容物を排出するものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-11-01
著者
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