Dehydroepiandrosterone Sulfate (DHA-S) のラット子宮頚熟化促進作用について
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概要
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去勢(30日)および妊娠末期の両条件下でのDehydroepiandrosterone Sulfate(DHA-S)によるラット子宮頚熟化促進作用を子宮頚重量増加測定,光顕ならびに電顕像から確認した.1.去勢ラットヘのDHA-S投与では投与約2時間で子宮頭重量の軽度増加がみられ以後漸減した.妊娠末期ラットへの投与では二峰性(そのpeakは2時間後と20時間後)の子宮頚重量増加がみられる.これに反し,estrogen(E)投与では,去勢時,妊娠末期ともに一峰性の増加(最大値20〜40時間後)をみるだけであった.2.DHA-S投与後2時間の光顕像では去勢時には子宮頚結合織で細胞浸潤,浮腫,血管拡張がみられるが線への影響は認めがたかった.妊娠末期例ではDHA-S投与例,E投与例,対照妊娠末期例3者間に差を認めなかった.3)DHS-S投与2時間後ラット子宮頚の走査電顕像では,去勢時,妊娠末期時ともに主として腺維束間隙の拡大と微細腺維の増生がみられた.4.DHA-S投与2時間後ラット子宮頚の透過電顕像ではb型腺維芽細胞,平滑筋細胞の肥大と細胞縁凹凸増加など妊娠ラットで認められると同質の変化がみられる.しかしこれらの変化の程度はE投与時に比べ軽微であった.一方,血管系への影響に関しては去勢時にはDHA-S≒Eであるが,妊娠ラットではDHA-S>Eの傾向が認められた.5.上記1→4の如く去勢ラットにおいてもDHA-Sは子宮頚熟化像を示し,かつその内容がE投与時とは一部異なるので,ラット子宮頚に対するDHA-Sの作用機序にはi)通常妊娠ラットで考えられている卵巣でのDHA-S→Eへの転換による二次的E上昇に由来するものii)DHA-Sの子宮頚への直接作用(?)と推定されるものの2つの機序を考える必要があるものと推定した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-09-01
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