早期産誘発ラット子宮筋における gap junction 形成について
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概要
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妊娠中期ラットで両側卵巣を剔出(卵剔)した。そののち,この動物にestradiol(E_2)を投与して早期産を誘発させた。この動物につき子宮筋のgap junction(GJ)形成を検討し,同時に組織内のnuclear estradiol receptor(nE_2R)濃度と躯幹血中性ステロイド濃度とを測定して,早期産ラット子宮筋でのGJ形成とその性ホルモン依存性が正期産例とどの様に異なるかを検討した。妊娠15日目卵剔・E_2 10μg投与群と妊娠16日目卵剔・ゴマ油投与群では,対照非卵剔・ゴマ油投与群に比べ有意の血清progesterone(P)減少と子宮筋でのGJ増加が認められたが,しかし人工的早期産はt誘発されなかった。この事実は分娩発来機序における子宮筋GJ増加の意義の限界を明白に示している点で甚だ興味ある結果と考えられる。一方,妊娠16日目卵剔・E_2投与群では,妊娠15日目卵剔・E_2投与群とほぼ同様の血清P減少・子宮筋GJ増加を見ただけではなく,その半数例が卵剔実施36〜40時間で早期産を開始した。この群の血清E_2濃度と子宮筋GJ数間には正期産例で報告されているものとほぼ同程度の正の相関関係(r=0.77)が認められた。さらに早期産開始周辺期での筋組織内nE_2R濃度については,あたかも正期産分娩開始周辺期でのそれのように,早期産既開始例nE_R<早期産未開始例nE_2Rという関係を示すことが今回の研究により,はじめて明らかにされた。ラットでの分娩は血清P減少と,子宮筋でのE_2依存性GJ増加だけでは開始せず,これらとともにそれ以外の因子(例えば子宮局所でのPGs増加)の関与が不可欠であることが,今回の研究から示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-09-01
著者
-
坂元 秀樹
日本大学医学部産婦人科
-
佐藤 宏和
秋田大学医学部
-
坂元 秀樹
春日部市立病院 産婦人科
-
眞木 正博
秋田大学
-
坂元 秀樹
日本大学 医学部 産婦人科学 教室
-
坂本 秀樹
日本大学医学部産婦人科
-
齋藤 良治
秋田大学医学部産科婦人科学教室
-
高橋 修三
秋田大学医学部産科婦人科学教室
-
眞木 正博
秋田大学医学部産科婦人科学教室
-
坂元 秀樹
日本大学医学部 産婦人科
-
高橋 修三
秋田大
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