2-ME 処理法による Toxoplasma 抗体 19S IgM に関する研究
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概要
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先天性 Toxoplasma (以下Tp.と略)症の発生は, 妊婦がTp.の新感染をうけた場合に可能性があるとされているが, 慢性Tp.感染症の再燃による感染も否定できない.Tp.症は不顕性感染が多く, 現在採用されている血清反応では抗体産生状態および感染力の有無を知る事は不可能に近い.著者らは Tp.HA-test (栄研法)で陽を呈した妊婦および新生児のTp.抗体価の追跡を行なつた.また, 2-Mercaptethanol(以下2-MEと略)処理法によりTp.19SIgMの検出を行ない, Tp.症の診断と治療対象決定の糸口を検索した.(1)外来妊婦2599例のTp.抗体の保有率は, 疑陽性9.8%, 陽性7.8%であった.(2)新生児Tp.抗体価の生後の消長は, 臍帯血のTp.抗体価の高低と関連がある.(3)Tp.Beverley株感染家兎の実験で接種後8週目までの検査において接種後2〜3週目より2-ME感受桂が認められた.(4)Tp.陽性例の妊婦82例の2-ME感受性検査で, (+)20.7%, (〓)4.8%がみられ, 臍帯血では, (+)8.8%, (〓)1.7%であつた.Tp.19S抗体の検出率を全妊婦に対して算定すると(〓)以上では0.37%および新生児は0.13%にあたる.臍帯血における IgM の Placental Leak の問題も, 今後検討したい.(5)妊娠中Tp.抗体価の変動からみた2-ME成績では, 陰性から陽転した場合は, 妊婦血清で(+)以上が57.1%、新生児は27.2%であり, 妊娠中×4096以上のTp.抗体価を示した場合のTp.陽性例では妊婦血清は18.1%, 新生児は0%であつた.すなわち, 妊娠中のTp.の陰性から陽転した場合と, Tp.抗体価が×4096以上に上昇した場合にTp.19S抗体の検出率が高つた.(6)比較的長期にTp.抗体価が持続した例に髄液によるTp.原虫分離を行なつたが, すべて陰性であった.しかし, 19S IgM の検出およびTp.抗体価の推移よりTp.症と疑われた新生児2, 例がみられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-09-01
著者
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