絨毛細胞培養における培養液および血清の影響

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絨毛細胞培養は胎盤機能の解明の一手段として形態学, 内分泌学, 免疫学, 細胞遺伝学, 実験腫瘍学などの各方面の研究に広く応用されているが, その至適培養条件については十分なものは得られていない. 著者らはより効果的な細胞増殖を得るため, 主に, 培養液および添加血清について検討し, 次の如き結果を得た. 1. F10培養液は最も良い増殖作用を有し, それはTC 199に比し3.3倍の増殖を示した. 次いで増殖作用のよいものはRPMI 1640であり, これはTC 199の1.5倍であつた. YLEはTC 199よりも劣つていた. 2. 添加血清はその種類に関係なく20〜30%濃度が最も有効であり, その個々については, 仔牛血清にくらべウシ胎児血清およびヒト臍帯血血清はそれぞれ3.2倍の細胞増殖能を示した. ウシ胎児血清は30%以上の高濃度では細胞毒性をつよく示し増殖を抑制する一方, ヒト臍帯血血清では30%以上の高濃度でも細胞増殖能を示した. 3. 各培養液および添加血清の組合わせではF10+20〜30%ヒト臍帯血血清又は同濃度のウシ胎児血清を用いた場合が最も増殖がよく, 上記の両血清を使用することにより, 種々の培養液における細胞増殖能をあげ得る. 同様にF10の使用により一般に用いられている仔牛血清添加法でもある程度細胞増殖能をあげ得る.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1973-07-01

絨毛細胞培養における培養液および血清の影響

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