〓帯による性染色体異常スクリーニングの試み

概要

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性染色体異常は染色体検査により出生直後でも診断可能であるが,新生児期には臨床症状が少なく大部分は臨床症状のあらわれる思春期以後になつてようやく診断される.これを新生児期に発見するためには,新生児すべてに対しスクリーニングを行なうことが必要である.著者らは分娩時に得られる〓帯を用いて新生児の性染色体異常をスクリーニングする方法を検討し,実用的であることを確かめたのでここに報告する. 1. スクリーニング方法の概略は,〓帯の塗抹標本を2枚作製し固定染色後,性染色質検査によりX染色体数を,F小体(fluorescent body)検査によりY染色体数を算定することにある. 2. この検査においては塗抹標本の作製が最もむずかしかつたが,〓帯の粘液質の除去と塗抹方法につき検討し,〓帯上皮の組織片の塗抹を可能にした. 3. 〓帯の細胞は口腔粘膜細胞にくらべ大きく性染色質およびF小体観察が容易であり,細菌混入の少ないことも判定を容易としており,陽性頻度も高い. 4. 検体採取,検査方法,判定のいずれも容易であり,大量スクリーニング方法として実用的な方法といえる. 5. 当教室で出産した482例につきスクリーニングを試みたが,性染色体異常症例は発見されなかつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1975-06-01

〓帯による性染色体異常スクリーニングの試み

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